「海図の余白」(精肉)

海図の余白

海図の余白

サークル: 精肉
サークルHP:
発売日: 2026年08月06日 0時

一五〇二年、リスボン。あなたの手にあるのは一隻のカラベルと、わずかな金貨と、半分しか描かれていない海図です。
大西洋の南、アフリカの東、そのさらに向こう。海図の余白には何も書かれていません。書かれていないのは、まだ誰も見ていないからです。
港をひとつ見つけるたび、岬をひとつ回るたび、海図の霧が晴れていきます。最後に残るのは、あなたが自分の船で引いた線だけでできた一枚の世界地図です。
出航は、地図をクリックするだけでは終わりません。
航路は陸を避けて自動で引かれますが、風は緯度で決まっています。赤道近くの無風帯、南北の貿易風、その外側の偏西風。順風なら日に何十里も稼ぎ、向かい風なら同じ距離に倍の日数がかかります。
そして船倉には限りがあります。食料と水は「船員の数×日数」で消えていく。喜望峰を回ってインドへ向かうには、カラベルの水樽ではまるで足りません。だから寄港地を探すのです。だから海図を埋めるのです。
尽きれば人が死にます。長すぎる航海は壊血病を招き、士気が底をつけば、ある朝あなたは短刀を持った船員に囲まれています。
30品目の交易品には、それぞれ産地と需要地があります。丁子はテルナテで穫れ、リスボンで十倍の値がつく。銀は日本で採れ、広州で求められる。
ただしまとめて売れば値は崩れ、まとめて買えば値は上がります。小さな港ほどその振れは激しく、320個を一度に降ろせば相場そのものが変わってしまう。市場には満載したときの総額と平均単価が出るので、「一個いくら」ではなく「この船倉ぶんでいくら」で考える必要があります。
訪れた港の値は相場帳に自動で記録され、どこで安く、どこで高いのかが少しずつ見えてきます。港に商館を構えれば、留守のあいだも代理人が商いを続けます。
カラベルからガレオン、快速フリゲートまで7種の船。帆装・船体・船倉・水樽の改装。
酒場では航海士・砲術長・船大工・料理長・見張りを雇えます。逆風でも速力の落ちない航海士、初弾を必ず当てる砲術長、長い航海でも士気を保つ料理長——名のある士官はそれぞれ固有の特技を持ち、条件を満たすと決まった土地の酒場に現れます。
船員は海の上にいるほど腕が上がります。ただし新顔を大量に雇えば、その平均は薄まる。
海の上で起きること
嵐、凪、暗礁、船火事、幽霊船、舷側に沿って泳ぐ船より長い影。漂流者、海図の断片、洋上で荷を捌きたがる商人。出来事には、たいてい二つか三つの選ぶ道があります。帆を畳んで耐えるか、張って突っ切るか。
海賊とは、遠・中・至近の三段階を行き来しながら砲を撃ち合います。人数で勝るなら接舷して斬り込む。分が悪ければ帆をいっぱいに張って逃げる。拿捕できれば、船体そのものが金になります。
海には29人の人物がいます。
北大西洋には黒鳶のドラゴ・メンデス、カリブには紅玉のイサベラ・コルテス、南シナ海には戦のあいだ一言も発しない蕭黙。好敵手は決まった海域に現れます。
港には商人が住んでいます。リスボンの香料問屋マルガリーダ、ヴェネツィアの硝子商アルヴィーゼ、広州の陳明徳。贔屓にするほど値は動き、やがて海図まで分けてくれるようになります。
母港の王宮には後援者がいて、三つの大命を順に授けます。
暦は一五〇二年から進み、年が変わるたびに世界のほうが動きます。
インド副王領の設置、マラッカ陥落、新大陸の銀、種子島に伝わった鉄砲。史実に沿った12の出来事が、地域ごとの相場と各国の関係を書き換えていきます。欧州の香辛料が安くなる。東アジアの鉄が跳ね上がる。同盟が組み替わる。
67の港にはそれぞれ持ち主の国があります。依頼を果たせば関係は良くなり、船を襲えば悪くなり、落ちすぎた港では商いを断られます。名声が上がれば私掠免許を得て、敵国の商船を狙うこともできる——その国の軍艦に追われることも含めて。

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