ナイチンゲールはクリミア戦争後の長い人生で何を成し遂げたのか?
サークル: SPQR
サークルHP:
発売日: 2025年08月21日 0時
ジャンル: 評論
■同人誌仕様(PDF版)
・A5/表紙フルカラー/180ページ/横書き
・2025年8月刊行
“上流階級の令嬢「フロー」が、「国民的英雄ミス・ナイチンゲール」となった後の物語”
“クリミアの天使でもなく、バーサーカーでもなく”
■概要
この同人誌は自分がナイチンゲールの業績を理解するために書きました。
最も大きな特徴は、どの伝記でも書く以下「起承転」の3要素を「書かなかったこと」です。
起:上流階級に生まれたナイチンゲールと、後の看護の道に繋がる幼少期。
承:家族から看護師になることに反対されるが、それを乗り越えて道を切り開く。
転:その意思と能力が最大限に発揮されたクリミア戦争での献身。
結:戦後の看護学校創設などの功績。
「起承転」のパートは劇的で面白すぎるため、戦後の業績が頭に入らないのです。
その代わりに書いたことは、「結:戦後の看護学校創設などの功績」で扱われる、クリミア戦争以降の長い生涯で取り組んだ仕事と、その業績についてです。
ナイチンゲールがクリミア戦争に従軍していたのは約3年にすぎず(1853年10月出発-1856年8月帰国)、その後の人生(1856-1910年)の方が長く、より多くの業績を社会に対して残しました。
多くの児童向け伝記などでは、クリミア戦争以降の大きな業績の一つに「看護学校創設」を挙げます。しかし、「看護学校」の運営の現場には直接関与せず、他のことに自身の多くの時間を費やしたことはご存知でしょうか? 自身が1860年に創設した学校を直接訪問したのも「1882年」だったことは?
クリミア戦争から帰国してからの数年間、ナイチンゲールが最優先で取り組んでいたのは「学校創設」ではなく、「英国陸軍」「インド」「病院」などの改革でした。
本書は「クリミア戦争」「看護学校」中心に語られることが多いナイチンゲールについて、彼女の幅広い業績を伝えるために、「クリミア戦争後の長い人生で何を成し遂げた」のかを扱います。
目次
はじめに
第1章英国陸軍1854-1880年代
第2章インド・植民地1858-1890年代
第3章:病院1850-60年代
第4章統計データの設計から収集、活用まで
第5章看護知識の普及と訓練学校
第6章助産師の養成
第7章社会福祉(「看護」を用いた社会改革)
■対象読者・読んでいただきたい方
1.ナイチンゲールの伝記を読んだ方
2.『黒博物館 ゴ○ストアンドレディ』と劇○四季のゴスレが好きな方
3.FGOのナイチンゲールが好きな人
4.看護学生・看護師資格を有する方
【扱わないこと】ナイチンゲールの個性・家族関係・人間関係
本書は「ナイチンゲールが何を成したのか」「そのためにどう行動したのか」にフォーカスするため、個性・家族関係・人間関係など、「個人的な側面」をほとんど扱いません。
私も様々なナイチンゲールの個性が出ている手紙を読んでおり、彼女は人間的に魅力がある人物だと理解しています。しかしながら本書ではその「個人的魅力」を「業績」によって語ることで、よりクリアな姿を描き出すことを試みます。
前述したナイチンゲールの伝記で描かれる「起承転」がドラマチックである理由は、上流階級の恵まれた生活を捨てて看護の道に進んだことや、その道へ進むことに家族から強い反対を受けながらも克服していった前半生の行動の魅力、そしてそれらが結実するクリミア戦争での活躍にあります。
しかしながらそれらを含めるとナイチンゲールの「業績」が見えにくくなります。
あくまでも本書のテーマは、「ナイチンゲールの仕事」です。